2015年4月29日水曜日

特定商取引法③ 通信販売取引

特定商取引法により,規制されている取引の形態に,通信販売取引があります。

● 通信販売取引とは,どのような取引でしょうか。



特商法2条2項では,以下のように定めています。
「通信販売」とは,販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは指定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。

「郵便その他の主務省令で定める方法」とは,特定商取引に関する法律施行令第2条に規定されており,①郵便または信書便,②電話機,ファックス,インターネット等,③電報,④預貯金口座に対する払込み,とされています。

要するに,
① 販売業者または役務提供事業者(以下,「業者」といいます。)が
② 購入者等に対し,
③ 郵便,電話,ファックス,インターネット,電報,口座振込の方法により
④ 申込みを受けて行う取引
ということになります。
もっとも,電話勧誘販売については,除外されています。
電話勧誘販売については,別の記事で紹介します。

● 通信販売の問題点

今や,新聞広告や商品カタログ,テレビCMやインターネットの情報などをもとに,商品やサービスを申し込むことは当たり前の時代になっており,これらを利用したことがない,と言う人はまれなのではないでしょうか。
これらは,すべて特定商取引法により規制されています。
インターネット通販などのサイトには,必ず「特定商取引法に基づく表示」が書かれていることに,気付いている人も多いでしょう。

これらの通信販売には,どういう問題があるのでしょうか。

通信販売は,実際の商品やサービスを手にとって,体験した上で,商品やサービスを購入するのとは異なりますし,また,売り手と直接対面して取引を行うわけではありません。
そのため,広告のみが信頼の基礎となります。

広告に大げさなことが書かれていたら,それに惑わされて,不要な物を買ってしまう可能性などもあります。
また,買ったものが不良品だった場合に,連絡先として書かれている情報がでたらめだったら,どうしたらよいのでしょう。

対面で取引を行わない,ということは,リスクが高いということです。
そのため,法律で規制が加えられるのです。



● 通信販売取引規制


① 広告規制(特商法11条・12条)

・ 広告には,価格や支払時期・方法,権利の移転時期または役務の提供開始時期,申込の撤回または解除に関する事項などを,必ず記載しなければなりません。

・ 誇大広告は禁止されます。


② 返品特約について(特商法15条の2)

・ 通信販売にはクーリングオフという制度はありません。あくまでも,消費者が申し込んで購入するからです。

・ しかし,通信販売の性質上,どうしても思った物と違う,という場合が出てきます。そのような場合を考え,法は,原則として商品の受け渡しまたは指定権利の移転の日から8日を経過するまで,契約の申込みの撤回または契約の解除を行うことができる,と定めています。これは,商品に瑕疵がなくても,気に入らないという理由でも行使可能です。

・ この返品について,例外を設けるためには,かならず広告に表示しなければなりません。

③ 承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止(特商法12条の3)

相手の承諾を得ないで電子メール広告を送信することはできません。


④ その他

申込みを受けた場合,承諾する旨または承諾しない旨を,通知する必要があること(特商法13条)などが定められています。


● インターネット・オークションは通信販売か

特定商取引法は,販売業者・役務提供事業者といった事業者を規制する法律であり,個人で出品するインターネット・オークションは,規制の対象外であるのが原則です。

もっとも,個人での出品であっても,大量に同じものを出品している人などがあることからも分かるように,事業としてインターネット・オークションを利用している場合もありますので,前述の規制が全く及ばないわけではありません。

インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン

一定の規模以上の出品者については,販売業者として扱うこととし,特定商取引法の規制に服させることになります。
そのため,インターネット・オークションの出品者である業者についても,「特定商取引法に基づく表示」がされていることが多くなっています。





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