2014年7月9日水曜日

特別受益について教えて下さい

特別受益というのは,共同相続人の中で,被相続人の生前に特別の利益を受けた者,あるは遺贈を受けた者がいる場合に,遺産分割に当たって考慮することになります。



もちろん,一部の相続人だけが,生前利益を受けていたことについて,他の相続人がそれを特に問題とせずに,遺産分割協議が成立させることに問題はありません。
しかし,相続人間に不公平があることになりますので,これを是正する方法として,特別受益の考え方があります。
遺産分割の協議が整わない場合,審判では特別受益寄与分が考慮され,法定相続分による遺産分割が修正されることになります。
調停手続においても,これを見据えて相続人らが主張を行い,調停委員が調整をしながら調停成立を促すのが通常でしょう。

特別受益者となるのは,被相続人から①遺贈を受け,又は②婚姻もしくは養子縁組のため,もしくは③生計の資本として贈与を受けた者です(民法903条1項)。

具体的には,
・ 婚姻の際の持参金
・ 事業のための開業資金
・ 住宅購入資金
等を被相続人から受け取っていた場合などは,特別受益と言えます。

ただ,挙式費用を親に出して貰った,という場合などは通常,特別受益とされていません。
特別受益は遺産の前渡しという側面があるかどうかで判断されます。

特別受益と認められる生前贈与の時期に関しては,特別な規定はありません。
ただ,審判で特別受益の事実を認めて貰おうと思うと,共同相続人が特別受益を得たと主張する相続人が,特別受益の事実を立証する必要があるため,特別受益が認めさせるのは,それほど簡単ではありません。

特別受益の計算は次のように行います。(特別受益の持ち戻しの計算

① みなし相続財産額の算定

相続開始時の相続財産価額 + 贈与価額

② 本来の相続分の算定

各相続人について,
みなし相続財産 × 法定(または指定の)相続分率

※贈与を受けていない相続人にとっては,これが具体的相続分となる

③ 特別受益者の具体的相続分の算定

本来の相続分 - 贈与価額



特別受益の金額が相続分を超えるときは,特別受益者はその相続分を受けることができません。
特別受益者は遺産からは何も貰えないことになりますが,特別受益額が相続分を超えていたとしても,その超過分を返す必要はありません。


特別受益の持ち戻しの免除

被相続人が遺言等で,特別受益の持ち戻しをしない,という意思表示をしていれば,その意思表示に従い,持ち戻しの計算は行いません。

特別受益が遺贈である場合にはその遺贈を除いた財産だけを対象に,特別受益が生前贈与である場合には死亡時の財産だけを対象に,法定相続分にしたがって遺産を分配することになります。



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