2014年6月10日火曜日

資格制限について教えて下さい

破産すると,なれない職業がある,ということを聞いたことはありませんか。

たしかに,破産手続に際しては,制限される仕事や資格があります。



しかし,制限されるかどうかについて,誤解があることも多く,また,「破産すると」という言葉の使い方も不正確であるため,効果についても誤解があることが多いのが現状です。

(1)資格制限の期間

この点について一番誤解が多いのですが,通常,資格が制限されるのは,破産手続開始決定のときから,免責による復権のときまでです。

個人の自己破産については,免責を得ることが最大の目標と言ってよく,免責の得られないであろう場合に自己破産を申し立てることは,破産者の経済的更生の観点からは,あまり意味がありません。
したがって,個人の自己破産を申し立てるということは,いずれ免責が得られる,ということを念頭に置いています。

したがって,資格が制限されるのは破産手続き中の一定期間の間だけ,ということになります。

破産手続の期間は,場合によっては伸びることもありますが,通常は数か月で免責決定が出て,その免責決定が確定することになります。
免責決定の確定により復権が認められますので,資格制限を受けるのは,数か月間だけということになります。

(2)制限される資格

一定の資格については,破産手続き中に資格が制限されることになります。

制限される資格は,破産法に書かれているのではなく,個別の法律に書かれています。
「破産者であって復権を得ないもの」は,その資格

ここでは代表的なもの(よくあるもの)を紹介することにします。

警備員,警備業者(警備業法)

生命保険募集人,損害保険代理店(保険業法)

宅地建物取引主任者(宅建業法)

そのほか,弁護士,弁理士,司法書士,公認会計士,税理士,行政書士,公証人,貸金業者,旅行業者,土地家屋調査士,NPO法人の役員等,いろいろな資格が制限されることになります。

一方,よく誤解されていますが,公務員は,制限される資格には当たりません

これらの公法上の制限に加え,私法上の制限も法律には規定されています。

例えば,民法上の制限として,後見人,後見監督人,保佐人,補助人や遺言執行者となることは出来ません。

また,破産手続開始は,委任の終了原因とされていますので,取締役など,委任契約に基づく地位は,終了することになります。
ただし,取締役の欠格事由として破産者であることが挙げられているわけではないため,破産手続中であっても,新たに委任契約を締結して取締役に就任すること自体は可能です。

実際に,資格の制限があるために,破産手続を是非とも避けるべきである,という人はごくわずかです。

それでも,資格制限がネックになる場合には,破産手続以外の方法が取れないかどうかを検討することになります。



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