2014年5月7日水曜日

婚姻費用とは何ですか

婚姻費用という言葉を聞いたことはありますか。
離婚の相談とセットのように出てくる言葉です。
省略して,「こんぴ」などとも言います。




民法760条では,婚姻費用というタイトルで「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と規定されています。
すなわち,婚姻費用は婚姻関係にある夫婦の生活に必要な費用のことで,離婚の危機にある夫婦に特有の費用ではありません。

ただ,うまくいっている夫婦で,婚姻費用が問題となることは,普通はありませんので,夫婦の一方が,もう一方に対して婚姻費用を請求する,となると,その夫婦は何らかの問題を抱えているということになります。

離婚を視野に入れて別居している夫婦においても,離婚が成立するまでは婚姻費用の分担義務があります。
例えば,高収入の夫と定収入の妻が別居しており,妻が子を監護している状態にあるにも関わらず,夫が妻に生活費を一切渡していない状態であれば,妻子は生活そのものの危機に陥ってしまいます。
そのような時には,相手に対して婚姻費用を請求することができます。

ひと月あたりいくら,という婚姻費用は,夫婦で話し合って決まれば良いのですが,夫婦だけの話し合いでまとまらないときには家庭裁判所への調停申立を行います。
調停での話し合いによっても決着が付かないときには,審判により婚姻費用が決まります。
審判では婚姻費用の算定票を参考にして,婚姻費用が決まることになります。
【外部リンク】 婚姻費用算定票

婚姻費用の請求に際して覚えておいた方が良いのは,過去の婚姻費用請求は原則として認められない,ということです。
婚姻費用は請求したときから発生するというのが,現在の考え方です。
ですので,ぎりぎりまで我慢した上で婚姻費用を請求するというのは,無意味です。
婚姻費用は夫婦であれば分担しなければならない費用なのですから,現時点で離婚を考えているか,やり直したいと考えているかにかかわらず,きちんと請求しましょう。
(過去に婚姻費用が支払われなかった期間,本来であれば請求できたはずの婚姻費用の金額は,離婚に際しての慰謝料の際に,多少考慮されることはあります。)

なお,どんな場合でも婚姻費用請求が認められる,というわけではありません。
婚姻関係を破綻させる原因を作った側が,子どもの面倒も見ずに一方的に別居を開始した,などという場合には,婚姻費用請求は認められないこともあります。

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