2014年5月27日火曜日

弁護人を選任できる人

刑事事件では,だれが弁護人に依頼する事になるのでしょうか。

被疑者・被告人が弁護人を選任できることは,当然ですね。
権利の擁護を受ける本人であるから当然です。

また,国選弁護事件では,弁護人を選任するのは裁判所ということになります。



それでは,国選弁護事件以外では被疑者・被告人以外に弁護人を選任できる人はいないのでしょうか。

弁護人を選任できる人は,刑事訴訟法30条に規定されています。

刑事訴訟法30条
1 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
2 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。

被疑者・被告人のほか,その法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹が弁護人を選任することができます。

弁護人を選任できそうでできないのが,内縁関係にある人ですね。
おじ,おばの関係にあってもダメです。

それでは,被疑者・被告人以外の人が選んだ弁護人について,被疑者・被告人本人が気に入らなかった場合にはどうすれば良いのでしょうか。
あるいは,複数の弁護人が選任されてしまった場合には,どうしたら良いのでしょうか。



本人以外の人による弁護人の選任は,第三者のためにする契約(委任契約)と考えられるため,民法の規定に服することになります。

民法
第537条(第三者のためにする契約)
1 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2 前項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。

第538条(第三者の権利の確定)
前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない。

本人以外に選任された弁護人を,被疑者・被告人本人が弁護人と認めた場合には,民法538条の規定により,選任した人は契約を解除することが出来なくなります
被疑者・被告人は,委任契約の性質上,弁護人を解任することが出来ますので,自分の意思に沿わない弁護活動を継続される,という心配はありません。



以上のように,弁護士は,被疑者・被告人以外からの依頼を受けて,弁護人としての活動を行うことができます。

したがって,家族が逮捕されてしまった,などという緊急の事態の時には,本人の意思はひとまず置いておいて,相談して下さい。

もちろん,被疑者・被告人の方の意思を確認した上で受任することを原則としますが,特にご家族が弁護士費用を用意されるような場合には,契約自体は弁護士とご家族の方の間で行う方が良い場合もあります。

なお,被疑者・被告人以外の方により弁護人が選任された場合には,被疑者・被告人と弁護人選任者の関係を,戸籍謄本等で疎明する必要があります。




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