2014年4月21日月曜日

破綻原因を作った方から離婚を請求しても認められることはありますか

協議離婚,調停による離婚については,離婚をすることについて夫婦間に話し合いがつけば可能ですので,最初に離婚を求めたのが破綻原因を作った側からであったとしても問題はありません。



しかし,裁判上の離婚については,民法770条で,離婚を請求できる場合を次の5つに限定しています。
①  配偶者に不貞な行為があったとき。
②  配偶者から悪意で遺棄されたとき。
③  配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
④  配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
⑤  その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

このうち,①から④は,相手が離婚原因を作ったとき,ということですから,自分が破綻原因を作ってしまった場合には,①から④の理由で離婚を請求することは出来ません。
たとえば,不貞行為をした側からは,相手方配偶者に対して,不貞行為を原因として離婚を請求することはできないのです。

すなわち,破綻原因を作った側(有責配偶者)から離婚を請求できるのは,⑤に該当する場合,ということになります。

問題は,「婚姻を継続しがたい重大な事由がある」というのは,どのような場合か,ということです。

婚姻関係の破綻を判断するのは,それほど簡単なことではありません。
例えば,性生活が全くない期間が一定期間続いているからといって,それだけで婚姻生活が破綻している,と認められるわけではないのです。
(性生活がなくても,夫婦関係としては問題ない,という場合も十分にあり得るからです。)

一つの分かりやすい目安としては,夫婦が別居している状態が長期間続いていること,が挙げられます。
民法753条は,「夫婦は同居し,互いに協力し扶助しなければならない。」と,夫婦の同居義務を定めています。
これに反した状態が続いていることは,婚姻関係の破綻を推認させるのです。

もっとも,単身赴任等の合理的な理由による別居についてまで,婚姻関係の破綻が推認されるわけではありません。
別居していることに,婚姻関係の問題以外の理由がない場合に,問題となるのです。

一般的に,婚姻関係が破綻している,と認められる別居期間は,一応の目安として5年程度とされています。
中には,3年程度の別居期間が続けば,離婚を認める,という裁判例もあります。

別居に至った夫婦は,関係の修復がなければ,多くは1年以内にも離婚するのではないかと思いますが,有責配偶者は離婚を望んでいるが相手方配偶者は経済的理由等で離婚を拒んでいる,というような場合には数年の別居が必要になるのです。

有責配偶者からの請求により離婚が認められるような場合でも,相手方配偶者から有責配偶者に対する慰謝料請求等ができなくなるわけではありませんので,注意が必要です。
破綻している夫婦については離婚を認めたうえで,有責配偶者に対する損害賠償請求等を認めることにより他方配偶者の権利を保護しようとするのが最近の流れであると言われています。



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